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コロナウィルスの影響で大学病院は大赤字(2)

 

コロナウィルスの影響で大学病院は大赤字

今回も前回に引き続き、コロナのせいで大変な赤字になっている大学病院の経営環境について考えます。

 

 

大学病院の赤字の程度

「全国医学部長病院長会議」から発表されたデータによると、前年度とくらべ医療による収入が約16%低下しています。また、特定警戒都道府県に限ると、約21%の収入低下となりました。

 

すなわち、大学病院では、コロナの診療をすればするほど収入が減少している可能性を示唆しています。

 

 

 

医業収入の低下した原因

 

収入が減少した理由は、外来患者数の低下と入院患者さんの数の減少、ベッド稼働率低下にありそうです。それぞれ分けてみていきましょう。

 

 

外来患者さんの減少

報告によると、外来患者さんの数が27%の減少、特にやや高値の初診料をお支払い頂く初診の患者さん(始めて紹介受診される患者さん)の数が約45%低下したそうです。

 

実際に大学病院では、院内感染を防ぐ目的で、3ヶ月の長期処方が推奨されたり、不要な患者さんには来院しないように呼びかけたりしていました。また、患者さんの方も感染または他人に感染させてしまう可能性を心配し、来院を控えてくれていたようです。

 

患者さんの配慮もあり、外来患者数が減少し、その結果、医業収入が減少するというなんとも皮肉なことが起こっていました(涙)。

 

 

 

入院患者さんの減少・ベッド稼働率の低下

入院患者さんの数は約20%減少し、ベッドの稼働率は約16%低下しました。

 

思い返すと、コロナ用にベッドを確保するため一般診療を縮小するよう指令があり、入院患者さんが激減したことがありました。大学病院は検査目的の入院も多く、その場合は急がなくてよいことも多いので、患者さんも心配して入院を延期していました。

 

さらに、コロナ用の病棟を完備して、収益に大きく貢献してくれているであろう集中治療室の一部もコロナ用にして、重症患者さんに備えています。従って、ベッドの稼働率低下は思ったよりも少ない印象ですが、収益を減少させるには十分すぎるのかもしれません。

 

 

まとめ

大学病院は基本的に毎年赤字かトントンである事が多く、15-20%の減収は経営に直結する可能性があり、東京女子医科大学が職員のボーナスカットを試みざるを得ない理由もなんとなく分かりました。

 

僕の勤務先でも、経営が厳しい成果、残業代カットや給与の減少を見据えた財政再建の足音が聞こえてきています。また、コロナ体制を続けると病院が倒産してしまうので、現在はコロナへの対応を残しつつ、通常診療を無理して行っています(故に、かなり悲惨な事に・・・涙)

 

そんな中、67%の病院が、コロナ対応を行った職員に対して、特別手当を出したとの報告もありました。僕の病院でも微々たる物でしたが、最前線で働いた職員に対しては手当てを出していました。

 

簡単に病院の収支についてお話して来ましたが、長引くようであれば、政府の支援がなければ重症患者を治療する体制が維持できないかもしれませんね^^;。日本政府に期待です!

 

 

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