医学博士のあれこれ
博士号、特に医学博士についてのお話です。前回まではお医者さんが大学院にいって博士号を取得する主な理由についてお話してきました。今回はそれを踏まえて、「医学博士」の学位を取得することが難しいのかどうか、凄いことなのかどうか、考えていきたいと思います。(前回の記事を見てない方はこちらからどうぞ;医学博士ってすごいの??(博士号のあれこれ)(1))
「医学博士」になるのは難しい?
大学院への入学
前回までの記事を読んでいただいた方はお気づきだと思いますが、お医者さんが大学院生になった場合、お金(学費)を払いながら労働力も提供するという、一般社会ではありえない矛盾した環境になるため、基本的にはあまり人気がありません。。。従って、大学院の試験はあるものの落ちる人をほとんど見たことがありません。。
試験内容は英語と専門試験ということが多く、専門試験の試験問題を作成するのは・・・、もちろん医局の教授です。しかも試験問題は、「〇〇の疾患について知っていることを書け」とか、「今後研究したいことについて、記載せよ」など、抽象的な問題文が1行で、その下に自由に作文できるようになっています。
もちろん採点するのも教授で、何を書いても高得点です(笑)。そもそも、教授が大学院に入って働け!と言われて入る人もいるくらいですから、落ちる人がいるはずはありません^^;
ただ、少しだけ注意が必要なのは、英語の試験です。こればっかりは大学が作成するは普通の試験です。大学入学程度の英語ができれば問題ないんですが、時々、お医者さんではない普通の学生が受験しにきて、英語が0点に近く、専門試験を100点にしたのに落ちてしまったと教授がぼやいていたことがありました(笑)。
というわけで、基本的には大学院に入りたければいつでも入れます。一応試験はありますが、このような仕組みでほとんど落ちることもありません。。。
大学院の卒業は難しい??
大学院博士課程の卒業するための基準は、大学によって異なりますが、概ね英語の論文を論文雑誌に投稿して掲載されればOK、という場合が多いです。
論文雑誌といっても、小保方さんで有名になった「Science」「Nature」といった超一流誌から、すぐに掲載してもらえるゴミ箱のような雑誌(いわゆるハゲタカジャーナル)まで幅広く存在し、このハゲタカジャーナルはお金を払えば基本的には掲載してくれるので、このような怪しげな論文雑誌に掲載されれば卒業できる大学の場合、卒業のハードルは無いに等しくなります。(さすがに科学の世界では問題になっており、規制も始まっています。)
大学の中には、論文投稿すら不要という大学もあります。(以前は東京大学ではそうだったみたいですが、現在は分かりません。。。)。。従って、論文一本を書き上げれば卒業できますが、その論文の質は問われない、というのが正解だと思います。
というわけで、簡単に卒業できるといえばその通りです。実際に、博士号を取得するためだけに入学するお医者さんは、質の低い論文を適当に書いて卒業し、医学博士となることも少なくありません。一方、医学以外の博士号は取得するにはそれなりの論文を作成しなければなりません。こんな裏事情もあってか、医学博士が他の博士(理学や工学博士など)と比べて若干価値が低いのでは・・・と噂される原因になっています。
それではすべての大学院で難しくないかといえば、そんなこともありません。医学博士を取得することが難しい場合も多々あるんです。今回も長くなってきたので、その辺はまた次回に続きます!
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