緊急ではない症状での休日受診・救急車での受診
さて、今回はこれまでのお話を踏まえて、最初に登場した救急車でやってきた腰痛の患者さんのその後です。(読んでない方はこちらをご覧下さい:夜間・休日の受診、救急車での受診はお得?(1))。
簡単に要約すると、僕が日曜日に大学病院で当直していると、救急隊から受け入れ要請の電話があり、血圧・心疾患でかかりつけだった患者さんが腰痛で救急車を呼んで、救急隊のお願いもあって当院で救急搬送を受け入れることにしました。
なんと、腰痛は4日前からあり、症状は変わっていないということでした。。。
当院に到着
まずは、看護師さんが血圧などを測ってくれ、自分で簡単な診察をしたところ、命に係わる状況ではないことが分かりました。そして、奥様と本人から話を聞いてみると、やはり、
「腰痛が4日前に発症した」
「4日前と比べると、増悪はしていない。」
とのことでした。そして、なんで休日にあえて受診したのか、聞いてみたところ、
「なんとなく心配だったから・・・」
ということでした。。。
正直言って、この時点で帰しても良かったんですが、万が一のことを考えて、内科的な病気を否定すべく可能な検査は行う方針として、待合室で待っててもらうことにしました。
長い待ち時間
残念なことに、この日は病棟の患者さんからも度々相談があったり、休日診療に来た患者さんも多く、この患者さんにも長い時間お待ちいただくことになってしまいました。
ただ、待って頂いたこともあって、血液検査に加えてせっかくなので全身のCTまで撮影して、内科的には何も問題ないことを確認しました。診察上は、整形外科的な問題である可能性が高く、整形外科の当直の先生に相談したら幸運にも診察してくれることになりました。
そして、30分ほどで整形外科の先生が来てくれて、3分の診察で、
「これは腰が悪いね!」
「明日、近くの整形外科に行くように!!」
・・・(終了)
診察終了
検査、診察が無事に終わったときには、来院から3時間くらい経過していました。そして、当初の印象どおり、
「まったく緊急性なし」
と判断して、ご自宅にお帰りいただくことになりました。
腰が痛くてタクシーでも大変そうだったので、介護タクシー(けっこう高いらしい・・・)を手配して、ご帰宅していただく事になりました。冷静に考えてみると、
・救急車を呼んで受診して3時間くらい待ちましたが、結局のところ、体の状態は何一つ変わっていない・・・
・腰の痛みも変わっていない・・・
・来るときは救急車でしたが、帰りは自分達で何とか帰らなければいけない・・・
ということで、個人的には、患者さんとご家族にとって、今回の受診では何のメリットも無かったんじゃないかな・・・、と思いました。
ただ、ご家族に聞いてみると、「何も無くて安心できて良かったです。ありがとうございました」と感謝しながら帰って行きました。
(個人的には、あまりに何も無くて申し訳なかったので、ちょっと強めの痛み止めを処方してあげました。。。)
如何だったでしょうか。多くの夜間・休日の診療はこんな感じです。医療者から診ると、平日に来たほうがよかったのにな・・・、と思うことが多いですが、本人・家族からすると、「安心」という価値あるものが得られるという点で、良いのかもしれませんね。というわけで、この腰痛の患者さんの受診は、本人・家族からすると、とっても良かったようです。
皆さんも、夜間・休日の外来を受診するときには、本当にお得なのかどうか、実は平日に受診したほうがお得かもしれないことも考えてみると、良い受診につながるかもしれません。
本日のまとめ
① 医療者から診ると、緊急性の無い患者さんの休日受診は損である
② 患者さんからすると、休日診療で「安心」を得ることができる
③ 休日診療を受診する際は、その体制を知った上で、メリット・デメリットを考えることが重要
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