コロナウィルス感染拡大と民間病院でのコロナ診療
前回までは大学病院のコロナ診療についてお話させてもらいましたが、赤字でも倒産しない国立病院と経営を考えなければいけない民間病院ではかなり様子が異なります。
今回は僕が手伝いに行っている民間病院での様子を簡単にですがお伝えさせて頂きます。はっきり言って、規模の大きくない民間病院でコロナの診療を行うことは非常に大変です!!
大学と違ってコロナPCR検査は出来ません
大学病院では入院前に全症例にPCR検査を行うとお話しましたが(詳細はこちら:コロナ拡大中の大学病院②(患者さん編))、中規模以下の民間病院にはそんな設備はありません。しかし、自治体からの陽性で発熱外来を行わなければならず、発熱の患者さんが来たらコロナの検査をしないわけにはいかないので、「簡易コロナ抗原検査キット」を使用しています。(僕の勤務先の話ですが・・・)
この「簡易コロナ抗原検査キット」は非常に精度が低く、コロナ感染者であっても陰性の結果が出ることも多くあるんです。しかし民間病院ではやむをえず、これを頼りに頑張るしかないんです(涙)。
この検査キットが陰性であった患者さんは屋外の待合スペースから院内の隔離スペースに入ることが出来ます。その後も有り難い事に看護師さんが検査をすべて行ってくれるので、お医者さんはこの段階でも発熱患者さんに触れることがなくとても助かっています。
繰り返しになりますが、この検査キット、精度が低くて偽の陰性(実際には感染しているけど、検査は陰性)がよく出るんです・・・。従って、この検査で陰性だった患者さんは院内に入ってきますが、コロナの感染者である可能性もかなりあるんです。
後日受診したの医療機関でコロナ感染発覚!?
「コロナ抗原検査キット」が陰性で院内へ入ってきた患者さんの中でも、症状の重たい発熱患者さんや味覚異常などのコロナ感染でよくある症状を訴えている発熱患者さんには、念のため肺のCTと採血検査を受けていただきます。この検査で問題なければ初めて通常の診療ブースに入ることができ、診察を受けることが出来ます。
このCTと採血の検査で少しでもコロナの感染が疑わしい患者さん、もしくは症状からコロナ感染と強く疑われる患者さんは、完全防御の看護師さんが全て対応してくれて、必要に応じてお医者さんが間接的な診察で薬を処方し帰宅してもらいます。
最近は公立病院でのPCR検査の体制が拡充されたこともあって、多くの患者患者さんは帰宅後に公立の病院でPCR検査を受けているようです。
そしてその結果はというと・・・
PCRの結果が陽性だったという患者さんは少なくありません。。。。
ここまでの話の流れで気づいてしまった方もいるかもしれませんが、
この発熱診療はあまり意味がない可能性が・・・
コロナの感染者を正確に診断できるわけでもないですし、お医者さんがしっかりと診察するわけでもないですし・・・。
もちろん入院も出来ません!!
中規模以下の民間病院では、経営的観点・風評的な観点・設備面から、コロナ感染者の入院は出来ないんです。従って、このシステムはあくまで歩いて来院し、歩いて帰宅できる患者さんの場合しか出来ないんです^^;。
コロナの感染が強く疑われる患者さんで、全身状態が悪くて歩けない患者さんが来たらどうなるかといいますと、
かなり悲劇的な事になります・・・
先日、本当に大変なことになった患者さんが居たんですが、長くなってきたので次回に続きます!
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